2017年5月27日
川和連合集会場にて、地域でつくりあげる「地域ケア会議」をテーマとした「平成29年度川和地区地域懇談会」が、川和地区連合町内会および川和地区社会福祉協議会役員40余名、さらに加賀原ケアプラザ、都筑区役所の方々を加えた60余名の出席のもと開催されました。
討議内容の概略は下記のとおりです。
1 あいさつ(川和地区連合町内会久保会長) 川和連合地域では見守り・声かけ活動について、川和連合ふれあいたいが発足し、必要な人に支援が届くよう活動を進めてきています。「地域ケア会議」は個別の課題について繋ぐべき部署を決め、その解決策を討議する会議で、また潜在的な問題・課題を見つける体制を積み上げていくことにより、本当に必要な人にまで支援が届くことを目的としたシステムです。今回の懇談会では、「地域ケア会議」を推進するため、誰が、いつまでに、何をするか、を考えることをテーマに選びました。
2 説明・意見交換@地域包括ケアシステムの構築に向けた「地域ケア会議」について(菅野係長:区高齢・障害支援課地域包括ケア推進担当)
「地域ケア会議」とは、高齢者でも住み慣れた地域でずっと暮らし続けるための仕組みです。川和地区連合町内会地域、加賀原ケアプラザ、都筑区、横浜市へと問題・課題を上げていく仕組みであるとともに、横浜市で決めた施策を都筑区、加賀原ケアプラザ、川和地区連合町内会地域へと繋げる会議です。
市内18区、すべて同じ体制をとっており、中でも個別の「地域ケア会議」はとても大切な会議です。
A川和地区における地域ケア会議の体制と事例紹介(川和地区社会福祉協議会山口事務局長)
地域の福祉に関連する問題・課題とは、例えば認知症、孤独、虐待、要支援、生活上のりごとなどが重複している事例、もしくはそれを抱えた対象者です。潜在的な問題・課題を把握しても支援が届く仕組みができていない事例、または問題・課題の情報は把握しているが対応ができていない事例を解決するシステムが「地域ケア会議」です。
前者の例としては都筑が丘II自治会で実施している福祉連絡会、また後者の例としては川和台自治会、川和町内会等で川和連合ふれあいたいが関係者と問題・課題の解決策を討議した事例があります。
Bグループ討議の様子(6グループに分かれて討議)




C各グループの討議結果の発表
<1グループ>
・「地域ケア会議」を分からない人ばかりで、色々な話はできなかった。
・自治会に入らないと情報が入ってこなくなる。
・短い時間でもよいので、話し合う機会を多く作ることが重要で、こうした仕組みを地域で広げられると良い。
・地域で初めて選出された役員等のための研修があるとよい。

<2グループ>
・困っている人をどうやって支えていくか。
施設入所が解決策か、プライバシーの問題もありどこまで踏み込めるかが難しい。実は本人はさほど困っていない場合もあり、困っているのは本人若しくは家族なのか、支援に介入するきっかけが難しい、町内会・自治会がどこまでの活動をするのかが良く分からない。
・どこに相談をするのか
そもそも誰に相談すればよいのかわからない。民生児童委員に繋いで良いのか、民生児童委員が誰なのか知らない、民生児童委員の仕事内容を知らない、加賀原ケアプラザに相談をして良いのか、相談に関して無料なのか良く分からない。
・具体的に何をするのか
気になっている人の情報を共有し、民生児童委員と自治会・町内会の関係性を深める、全体をまとめる連絡会を設置する、単に見守ることが大切、川和連合ふれあいたいに繋ぐ、普段の近所づきあいが大事、顔を合わせる場があれば繋げることができる。

<3グループ>
・「地域ケア会議」を推進するためには、自治会が主導するのが良い。
・水面下の見えにくい問題・課題を把握できるような情報を持っている班などの小単位での近所の人の意見を定期的に町内会・自治会の会合や情報交換会などで吸い上げると良い。
・見守りなどの活動を行うのは友愛や民生児童委員だけでなく、近所の複数の人で見守ることが必要である。
・一人の見守り対象者について、できる人ができることをやっていく。民生児童委員から川和連合ふれあいたいの活動の紹介(PR)をしてもらう。民生児童委員一人が抱えるのではなく手伝う人が増えれば人と人とが繋がる。

<4グループ>
誰が、何をすると、どうなるか、をベースにしたところ、4つの問題点が浮上した。
・一人暮らしの高齢者問題について
どこにそのような人がいるのか、困っている人がいるのかいないのか、当事者としてどこに助けを求めれれば良いのかが分からない。親族だけでは面倒見切れない。
→支援が必要となる状態にならないように、仲間づくりを進める。
→友愛活動に勧誘していく。
・交通環境問題について
バス停まで行けず、サロンに参加できない。歩道がない道路があり、危険である。
青信号で横断歩道を渡り切れず、危険である。
→行政に実施すべくその方向性を探ってほしい。
・「地域ケア会議」や民生児童委員について
そもそも情報が不足している。
→情報発信として自治会・町内会や民生児童委員が地域活動をPRする。
・情報を受ける側の問題
→近所同士でコミュニケーションをとる。
→地区社協や関係機関が、必要な情報を適宜提供していく。

<5グループ>
何か地域で問題が起こった時、どうするかを考えてみた。
地域で見守るのが良い。相談するとしても、隣近所だから知られたくないこともある。どこに繋げるのか分からない。民生児童委員が分からない、民生児童委員がいない地区もある。その場合は身近な町内会・自治会に相談するしかない。加賀原ケアプラザは相談の窓口だが、現状はまだ知られておらず、地域包括ケアシステムについても周知されていない。
地域包括ケアシステムを知ってもらうことが必要である。意見はたくさん出たが、誰が、という部分で自治会や民生児童委員というのはあるが、身近な近所の方たちにまず相談、見守りをしてもらい、民生児童委員に繋げ、次へ繋げると結論付けた。

<6グループ>
・何が地域の福祉に関連する問題・課題(困りごと)なのか、対象者がどんな人か分からない。
→小単位での話し合いをつなぎ合わせれば、「地域ケア会議」の推進となるのではないか。
→PR方法の工夫が必要。架空の個別事例で流れを説明するなど。
→どの順番で誰に伝えるかなどのマニュアルがあればよい。
→若い世代を巻き込んで、色々な考え方を提案すると良い。
・「地域ケア会議」は誰が招集して開くのか分からない。
→問題を知った人・聞いた人は参加者であり当事者である。自分のことと考える。
・「地域ケア会議」や民生児童委員の役割を知らない人がいる。
→民生児童委員の役割を知る機会を設ける。
・問題を持つ当事者の思いを知りたい。
→一人暮らしの方向けの相談窓口を設けるのもよい。
→当事者の意見をくみ取り、それを踏まえて地域で支援するのが良い。
3 グループ発表に関するコメント(川和地区連合町内会川上副会長) 「地域ケア会議」、みんなで地域の福祉に関する困りごと(個別の問題・課題)を共有して、解決していこうという根本的なシステムですが、一部の役員しか参加していない、実際に身の回りに困った方がいないので分かり辛い等から、PR面でまだまだ体制の理解浸透は難しいと認識できました。
4 講評・まとめ(川和地区連合町内会久保会長)「地域ケア会議」を初めて聞いた人も多かったのか、まだまだ「地域ケア会議」が浸透していないことがわかりました。川和地区で「地域ケア会議」を構築するに当たって、川和連合地域全体で始めるのは難しいので、まずは各町内会・自治会で作り、次に川和連合という順番を踏むことが望ましいようです。「地域ケア会議」の事務局は加賀原ケアプラザ、運営は町内会・自治会、との体制づくりを進めてきていますが、まだ準備段階なので、速やかな構築を進めていきたいと思います。
地域における見守り声かけ活動を進めるには、町内会・自治会が主体となることが重要です。地域の福祉に関する困りごと(個別の問題・課題)の情報を収集するのは民生児童委員だけではなく、高齢者クラブなど様々な団体が抱える情報を集約し、それを町内会・自治会が必要な部署に繋げる仕組みを作っていかなくてはいけません。また、情報を収集するに当たっては、町内会・自治会の役員が進んでいろいろな会に参加し、直接聞くことが重要となります。細かい話を何度でも聞いていくのも重要なことです。
見守り声かけ活動を実施している川和連合ふれあいたいの活動などが取り組みを進めている中で、なかなか情報が収集できないこともあります。「地域ケア会議」は、何かあったときにどこに連絡すればよいかがわかるようになっているので、「地域ケア会議」を浸透していくためにも川和地区連合町内会で「地域ケア会議」を啓蒙していきたいものです。
【参考】
グループ討議に入る前の自己紹介の中で下記の設問に回答してもらいました。地域ケア会議や民生児童委員の認知度は36%(参加数60名)と低い結果でした。また誰に繋げるかは、ケアプラザや民生児童委員との回答が多いようです。